PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつては「夢の化学物質」とも呼ばれた有機塩素化合物です。水に溶けにくく、油に溶けやすい性質を持ち、不燃性で電気絶縁性に優れ、熱にも非常に強いという特性から、電気機器の絶縁油や熱媒体、感圧複写紙、塗料、潤滑油など、幅広い用途で利用されていました。特に、変圧器(トランス)やコンデンサ、蛍光灯安定器といった電気機器には、その絶縁性が重宝され、大量に使用されていました。
しかし、その化学的安定性がゆえに、自然界で分解されにくく、生物の体内に蓄積されやすいという特徴も持ち合わせていました。この点が、後に深刻な環境汚染と健康被害を引き起こす原因となります。